法改正 & 判例 & COMMENTS
ビジネスと人権

今、ビジネスと人権に関する国内外の関心が高まっています。
2011年に国連で承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」をベースに、日本でも、2020年に「ビジネスと人権」に関する行動計画(NAP)を、2022年に「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を、2023年に「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」を策定しました。日本では、ビジネスと人権は法的強制力を伴わないソフトローにとどまっていますが、欧米ではハードロー化が進んでいます。
指導原則は、企業に対し、自社事業による人権への負の影響を防止・軽減するための取組として、①人権を尊重するという責任を果たすという企業方針に基づくコミットメント、②人権への負の影響を特定し評価し、負の影響を防止・軽減するための措置を取り、その取組の実効性を検証し、一連の取組につき情報開示する 人権デュー・ディリジェンス(人権DD)の実施、③救済手続の整備を求めています。
2024年1月16日に経団連の公表した第3回企業行動憲章に関するアンケート結果によれば、「今後3年程度を見据えて特に強化する取り組み」として、約31%が「人権DDの適切な実施」を挙げています。
ビジネスと人権も、人間の尊厳を尊重するという理念に立つものと考えます。ビジネスと人権に対する企業の関心と、これに基づく対応は、今後、なお一層進んで行くことでしょう。
